総合技術監理部門 令和4年度 Ⅰ-1-36
※問題文及び正答は日本技術士会のホームページから確認してください。
解説
①外務省のホームページでは、バーゼル条約成立の背景について以下のように示されています。
(1)有害な廃棄物の国境を越える移動は1970年代から欧米諸国を中心にしばしば行われてきた。
1980年代に入り,ヨーロッパの先進国からの廃棄物がアフリカの開発途上国に放置されて環境汚染が生じるなどの問題が発生し,何等の事前の連絡・協議なしに有害廃棄物の国境を越えた移動が行われ,最終的な責任の所在も不明確であるという問題が顕在化した。
②外務省のホームページでは、バーゼル条約の主な条文について以下のように示されています。
(2)締約国は,国内における廃棄物の発生を最小限に抑え,廃棄物の環境上適正な処分のため,可能な限り国内の処分施設が利用できるようにすることを確保する(第4条2(a)及び(b))
③外務省のホームページでは、バーゼル条約の主な条文について以下のように示されています。
(11)条約の趣旨に反しない限り,非締約国との間でも,廃棄物の国境を越える移動に関する二国間または多数国間の取決めを結ぶことができる(第11条)。
④令和3年1月から12月までの間に、バーゼル法に規定する手続を経て実際に我が国から輸出された特定有害廃棄物等の総量は、95,386トンであり、我が国に輸入された特定有害廃棄物等の総量は、1,776トンとなっています。すなわち、輸出量が輸入量を上回っています。
また、特定有害廃棄物等の輸出において、移動書類が交付された案件の主な品目は、石炭灰、亜鉛くずで、金属回収など再生利用を目的とするものです。
特定有害廃棄物等の輸入において、移動書類が交付された案件の主な品目は、電子部品スクラップ、金属含有スラッジで、金属回収など再生利用を目的とするものです。
⑤2021年(令和3年)から、バーゼル条約において、全てのプラスチックの廃棄物(バーゼル条約の規制対象及び規制対象外を含む)が網羅的に規定されました。
以降は条約の規制対象となるプラスチックを輸出する際には事前に相手国の同意が必要となりましたが、相手国の同意があれば輸出は可能であり、「輸出禁止措置」ではありません。
参考
1) バーゼル条約(外務省)
2) 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の施行状況(令和3年)について(環境省)