技術士建設部門コンクリート 徹底解説ブログ

技術士建設部門コンクリートを徹底的に解説します

過去問解説

令和3年

Ⅰ-1 循環型社会の構築

Ⅰ-2 風水害対策

Ⅱ-1-3 高強度材料

Ⅱ-1-4 非破壊検査

Ⅱ-2-1 再発防止

Ⅱ-2-2 耐震補強

Ⅲ-1 新材料・新工法

Ⅲ-2 予防保全

令和2年

Ⅰ-1 担い手確保

Ⅰ-2 戦略的なメンテナンス

Ⅱ-1-3 生産性向上 ①機械式接手工法

Ⅱ-1-3 生産性向上 ②呼び強度とスランプフロー

Ⅱ-1-4 劣化現象 ①水分を考慮した中性化による鋼材腐食

Ⅱ-1-4 劣化現象 ②凍結防止剤散布環境下における凍害

Ⅱ-1-4 劣化現象 ③アルカリシリカ反応

Ⅱ-2-1 新設プロジェクト

Ⅱ-2-2 既設構造物の補修

Ⅲ-1 BIM/CIMによる生産性向上

Ⅲ-2 性能規定化

令和元年

Ⅰ-1 生産性向上

Ⅰ-2 国土強靭化

Ⅱ-1-5 混合構造

Ⅱ-1-6 化学混和剤

Ⅱ-1-7 暑中コンクリート

Ⅱ-1-8 塩害

Ⅱ-2-3 ひび割れの補修計画

Ⅱ-2-4 耐震補強

Ⅲ-3 海外インフラ

Ⅲ-4 温室効果ガス

平成30年

Ⅱ-1-5 非破壊検査

Ⅱ-1-6 体積変化に伴う初期ひび割れ

Ⅱ-1-7 環境負荷低減

Ⅱ-1-8 鉄筋の継手方法

Ⅱ-2-3 工期短縮

Ⅱ-2-4 軽量コンクリートの圧送

Ⅲ-3 防災・減災対策

Ⅲ-4 生産性向上

平成29年

Ⅱ-1-5 プレストレストコンクリート特有の初期欠陥

Ⅱ-1-6 短繊維

Ⅱ-1-7 スランプ

Ⅱ-1-8 要求性能

Ⅱ-2-3 表面品質

Ⅱ-2-4 耐震補強

Ⅲ-3 生産性向上と品質確保

Ⅲ-4 維持管理

平成28年

Ⅱ-1-5 劣化メカニズム

Ⅱ-1-6 水中不分離コンクリート

Ⅱ-1-7 梁部材の破壊形態

Ⅱ-1-8 耐震性能

Ⅱ-2-3 リスク管理

Ⅱ-2-4 耐荷力の向上、回復

Ⅲ-3 社会資本の品質

Ⅲ-4 二酸化炭素

平成27年

Ⅱ-1-5 充填不良

Ⅱ-1-6 プレストレストコンクリート特有の不具合

Ⅱ-1-7 温度ひび割れ

Ⅱ-1-8 電気化学的補修工法

Ⅱ-2-3 構造物の改修

Ⅱ-2-4 補修対策

Ⅲ-3 復興事業

Ⅲ-4 社会資本の維持管理

平成26年

Ⅱ-1-5 塩害の再劣化

Ⅱ-1-6 寒中コンクリート

Ⅱ-1-7 乾燥収縮ひび割れ

Ⅱ-1-8 複合構造

Ⅱ-2-3 引張鋼材の腐食

Ⅱ-2-4 プレキャスト化

Ⅲ-3 社会資本整備

Ⅲ-4 維持管理

平成25年

Ⅱ-1-5 塩害

Ⅱ-1-6 柱部材の破壊形態

Ⅱ-1-7 アルカリシリカ反応

Ⅱ-1-8 高強度コンクリート

Ⅱ-2-3 初期欠陥

Ⅱ-2-4 補強設計

Ⅲ-3 生産性向上

Ⅲ-4 社会資本の老朽化

平成24年

Ⅰ-11 性能照査

Ⅰ-12 フライアッシュ

Ⅰ-13 繊維の利用

Ⅰ-14 骨材

Ⅰ-15 温度ひび割れ

Ⅰ-16 耐震補強

Ⅰ-17 合理化・省力化

Ⅰ-18 構造物の補修

Ⅱ-1 防災・減災

Ⅱ-2 地球環境問題

平成23年

Ⅰ-11 構造物の長寿命化

Ⅰ-12 耐震設計

Ⅰ-13 高強度・高流動・高耐久コンクリート

Ⅰ-14 高炉セメント

Ⅰ-15 構造部材のプレキャスト化

Ⅰ-16 予防保全

Ⅰ-17 かぶり厚さ

Ⅰ-18 既設構造物の安全性

Ⅱ-1 社会資本の老朽化

Ⅱ-2 建設産業の課題

平成22年

Ⅰ-11 耐久性設計

Ⅰ-12 生コンの品質

Ⅰ-13 乾燥収縮ひずみ

Ⅰ-14 環境負荷低減

Ⅰ-15 設計で考慮すべき施工への留意点

Ⅰ-16 耐火性能

Ⅰ-17 日常点検

Ⅰ-18 既設構造物の安全性

Ⅲ-1 老朽化

Ⅲ-2 建設産業の課題

平成21年

Ⅰ-11 充填コンクリート

Ⅰ-12 乾燥収縮ひび割れ

Ⅰ-13 複合劣化

Ⅰ-14 スラグ細骨材

Ⅰ-15 鉄筋接手

Ⅰ-16 耐震性能

Ⅰ-17 FEM解析

Ⅰ-18 プレストレストコンクリート特有の問題

Ⅲ-1 低炭素社会

Ⅲ-2 成果の合理性

平成20年

Ⅰ-9 混和材料

Ⅰ-10 再生骨材

Ⅰ-11 高性能コンクリート

Ⅰ-12 背高性能

Ⅰ-13 複合構造

Ⅰ-14 長寿命化

Ⅰ-15 構造物の補強

Ⅰ-16 温度応力によって生じるひび割れ

Ⅱ-1 維持管理

Ⅱ-2 公共事業の縮小

平成19年

Ⅰ-11 アルカリ骨材反応

Ⅰ-12 非破壊検査

Ⅰ-13 経年劣化

Ⅰ-14 品質管理

Ⅰ-15 性能設計

Ⅰ-16 プレキャスト化

Ⅰ-17 荷重作用

Ⅰ-18 収縮ひび割れ

Ⅱ-1 社会資本整備の在り方

Ⅱ-2  技術の維持継承

平成18年

Ⅰ-11 環境負荷の低減

Ⅰ-12 初期欠陥

Ⅰ-13 受け入れ時の検査項目

Ⅰ-14 超高強度コンクリート

Ⅰ-15 ライフサイクルコスト

Ⅰ-16 耐震補強

Ⅰ-17 経年劣化

Ⅰ-18 PRC構造

平成17年

Ⅰ-11 アルカリ骨材反応

Ⅰ-12 高性能コンクリート

Ⅰ-13 短繊維補強

Ⅰ-14 材料・配合に起因するひび割れ

Ⅰ-15 非破壊検査

Ⅰ-16 塩害

Ⅰ-17 プレキャストコンクリートの耐久性

Ⅰ-18 プレキャスト化

平成16年

Ⅰ-11 副産物または廃棄物の有効利用

Ⅰ-12 再生骨材

Ⅰ-13 鉄筋工の検査

Ⅰ-14 予防保全と事後保全

Ⅰ-15 劣化因子

Ⅰ-16 新しい構造形式

Ⅰ-17 性能規定化

Ⅰ-18 ライフサイクルコスト

平成15年

Ⅰ-11 マスコンクリート

Ⅰ-12 単位水量

Ⅰ-13 鉄筋

Ⅰ-14 アルカリ骨材反応

Ⅰ-15 ライフサイクルコスト

Ⅰ-16 健全性の評価

Ⅰ-17 施工時と完成時の構造系が大きく異なる事例

Ⅰ-18 性能規定

平成14年

Ⅰ-11 コスト縮減

Ⅰ-12 グリーン調達

Ⅰ-13 骨材

Ⅰ-14 長寿命化

Ⅰ-15 ひび割れ

Ⅰ-16 塩害

Ⅰ-17 複合構造物

Ⅰ-18 床版の劣化要因

平成30年 Ⅱ-1-5 非破壊検査

1.反発度法、赤外線サーモグラフィ法

1.反発度法による強度の推定

1-1.原理

 試験機によってコンクリート表面を打撃した時の反発エネルギーを「反発度」という指標でとらえ、事前に確認された反発度と圧縮強度の関係式に反発度を代入することによりコンクリートの圧縮強度を推定する。

1-2.留意点

 測定上の留意点として、測定結果が測定対象の状態に大きく影響されることから、豆板、空隙、露出骨材を避け、モルタルで覆われた乾燥した平滑面において測定を行うことが挙げられる。

 測定結果の活用においては、圧縮強度の推定はできるものの、圧縮試験の代替にはならないことに注意が必要である。

2.赤外線サーモグラフィ法による内部欠陥の推定

2-1.原理

 コンクリート表面から放出される赤外線をセンサーによって計測する。コンクリート中に空洞部分があると、その部分が断熱層となるため欠陥部と健全部の間に温度差が生じる。この温度分布状況を把握することにより、内部欠陥の検出を行う。

2-2.留意点

 測定上の留意点は、気象条件によって測定精度が左右されるため、晴天日に測定する必要がある。また、時間帯についても調査対象部分の日射受熱量が最大となる時間帯、あるいは最高気温、最低気温となる時間帯に測定する必要がある。

 測定結果の活用においては、調査対象物の汚れや光沢などによって生じる温度差を誤認する可能性があることや、検出できる欠陥の深さは表面から10cm程度が限界であることに注意が必要である。

                                     以上

 

令和2年 Ⅱ-1-4 劣化現象③アルカリシリカ反応

 ③アルカリシリカ反応について、劣化メカニズムと既設構造物の調査・診断における留意点を述べる。
1.劣化メカニズム

 アルカリシリカ反応(以下A S Rとする)とは、コンクリートの細孔溶液中における水酸化アルカリと、骨材中のアルカリ反応性鉱物との間に化学反応が生じることである。この化学反応によってアルカリシリカゲルが生成され、吸水を伴う膨張によってコンクリートにひび割れなどが生じる。進行するとコンクリート強度の著しい低下や、鉄筋破断に至ることもある。
2.既設構造物の調査・診断における留意点
 構造物がASRによる影響を受けているかどうかの判定は、外観の調査から始めるが、状況によって様々な特徴が見られることに注意が必要である。

 ひび割れ形状については、鉄筋量が少なく、周囲からそれほど拘束を受けない壁状の構造物では網目状となることが多く、鉄筋量が多い部材やPC部材などでは、網目状の特徴を残しながらも、主鉄筋の方向またはPC鋼材の方向に沿った直線的なひび割れになることが多い。*1また、ASRによるひび割れでは、内部から白色のゲル状物質の滲出が観察されることが多いが、必ず確認出来るとは限らない。周囲の環境や経過年数などを総合的に判断し、必要に応じて詳細試験を行う。

メモ

・アルカリシリカ反応性骨材は、安山岩流紋岩などの火山岩系チャート、硬質砂岩等の堆積岩系など多種多様であり、全国各地に存在する

・ASRの影響を受けているかどうかをより詳細に調査する方法としては,コアを採取し,ア)骨材の破断面に反応リム(骨材の周縁および骨材内部のひび割れにみられる環状または帯状の変色域)が見られるかどうか確認する方法,イ)偏光顕微鏡等を用いて反応性骨材の有無を確認する方法,ウ)骨材の残存膨張量を調べる方法、エ)強度やヤング率の変化を調べる方法などもある。しかし,これらの方法は,試料採取のため少なからず構造物を傷つけるので,多用することは望ましくない。
また、試料を採取する場合の採取位置や箇所の決定にあたっては、構造や部位等について慎重に検討しなければならない。*2

・一般にASRに起因する損傷が発生している場合、コンクリートの物性変状の特徴として、弾性係数が低下し、圧縮強度は同等かやや低下することが挙げられる。*3

*1:国土交通省 道路橋のアルカリ骨材反応に対する維持管理要領(案)

*2:国土交通省 道路橋のアルカリ骨材反応に対する維持管理要領(案)

*3:(財)沿岸技術研究センター 2005 アルカリシリカ反応により劣化したコンクリート構造物の調査・対策に関する提案

令和2年 Ⅱ-1-4 劣化現象②凍結防止剤散布環境下における凍害

1.新設構造物の設計・施工

 ②凍結防止剤散布環境下における凍害について、劣化メカニズムと新設構造物の設計・施工における留意点を述べる。
1.劣化メカニズム

 凍害とは、コンクリート中の水分が凍結融解を繰り返すことにより、コンクリートが表面から徐々に劣化する現象である。凍害によってスケーリング、微細ひび割れ、ポップアウト等の損傷が発生するが、凍結防止剤散布環境下ではスケーリングが促進される。スケーリングによってかぶりコンクリートが剥離、剥落し、凍結防止剤中の塩化物によって鉄筋が腐食環境下に置かれる複合劣化が発生すると、急速に構造物の損傷が進行する可能性がある。
2.新設構造物の設計・施工における留意点
①エントレインドエアの導入
 エントレインドエアは水分の凍結時に発生する膨張圧力を吸収し、耐凍害性の向上が期待できる。しかし、コンクリート中の空気量が多くなりすぎるとコンクリートの強度に影響を及ぼすため注意が必要である。
②排水計画
 凍害はコンクリート中の水分が凍結融解を繰り返すことにより発生することや、凍結防止剤が融氷水や融雪水などの水分に溶けてコンクリート中に侵入することから、構造物の排水が適切に行われることが重要である。

 

令和2年 Ⅱ-1-4 劣化現象①水分浸透を考慮した中性化による鋼材腐食

1.新設構造物の設計・施工

 ①水分浸透を考慮した中性化による鋼材腐食について、劣化メカニズムと新設構造物の設計・施工における留意点を述べる。
1.劣化メカニズム

 中性化は、空気中の二酸化炭素がコンクリート表面から侵入し、水酸化カルシウムなどのセメント水和物と炭酸化反応を起こすことにより、コンクリートの空隙中の水分のpHが低下する現象である。中性化によってコンクリートの強度が低下することは無く、またコンクリート中の水分は二酸化炭素を拡散させ、中性化の進行を遅らせる。
 中性化が鋼材位置まで達すると不動態被膜を破壊し、水や空気が供給されることによって発錆する。このとき、コンクリート中の水分は鋼材の腐食を促進する。
2.新設構造物の設計・施工における留意点
2-1.設計における留意点
 中性化が鋼材位置まで進行することを防ぐため、十分なかぶり厚を確保する必要がある。近年は耐震基準の改定や機械式鉄筋継手工法の普及などによって配筋が複雑化しており、3次元モデルを作成してシミュレーションを行うことが有効である。
 また、フライアッシュなどの混和材を高置換した場合、コンクリート新設時の中性化に対する抵抗性が低下する恐れがあるため配合設計時の検討が必要である。
2-2.施工における留意点
 空隙量の多い高水セメント比のコンクリートでは中性化の進行が早いため、水セメント比の小さい密実なコンクリートとする必要がある。また、二酸化炭素の侵入を防ぐため、豆板やコールドジョイントなどの初期欠陥防止も重要となる。

メモ

令和2年 Ⅱ-1-3 生産性向上 ②呼び強度とスランプフロー

 ②普通コンクリートの呼び強度とスランプフローの組合わせについて述べる。
1.特色

 コンクリート流動性を向上させる場合、普通コンクリートは高強度コンクリートに比べて、セメントを含めた粉体量が少ないため材料分離抵抗性の確保が重要となるが、近年、増粘剤含有タイプの高性能AE減水材が開発され、普通コンクリートにおいても材料分離抵抗性をもつコンクリートの安定的な製造が可能になった。
 そのため、打ち込み作業の合理化、高密度な配筋のコンクリート構造物への充填性の改善などを目的として、JIS A 5308においてスランプフローで管理する普通コンクリートが追加された。なお、増粘剤含有タイプの混和剤は規格化されておらず、スランプフローで管理する普通コンクリートにおいても増粘剤含有タイプの混和剤の使用を前提としていない。
2.効果や留意点
 スランプフローでの管理を行うコンクリートは自己充填性が高く、スランプで管理を行うコンクリートに比べてバイブレーターでの締固めやレーキの作業を減らすことが出来る。また、高密度配筋への充填性の向上も期待出来る。
 留意点としては、スランプフロー試験後に材料分離の有無を目視で確認する必要があることが挙げられる。材料分離抵抗性については、現時点で推奨される方法がないことが理由である。また、ポンプ圧送時の抵抗が大きいことや、液圧として型枠に作用することなどにも注意が必要である。

メモ